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1000
;Chapter 7
転んで膝を擦り剥いた。@
その上、遅刻した。@
br
楽しかった。\
bgm1 1
bg white,2
bg roji_03a,42
私は走っている。@
学校で走るなんてこと、三つしか考えられない。\
一つ。体育の時間。@
br
体操が終わった後、校庭を何周も周らせられるのが、いつもとにかく苦手だった。@
でも、今は体操服を着ていないから、体育の時間じゃない。\
一つ。休み時間。@
br
友達とふざけていて、はしゃぎながら追いかけたり、追いかけられたり。@こっちは楽しい。@大好き。@
でも、今はランドセルを背負っているから、休み時間じゃない。\
me1 33
bg black,22
ということは、最後の一つ。@
br
あぁ、何てこと。@こんな悠長な思考が現実逃避だったなんてっ。\
;bg "bmp\background\town\roji_02.bmp",25
bg roji_04a,23
私のように、走っている生徒の姿さえない。@
あぁ、何てことっ、遅刻なんて絶対に嫌っ!\
そこの曲がり角を曲がって、最後の直線を駆け抜ければ校門だ。@
br
曲がってッ、ラストスパート…!!@
br
……きゃあッ?!\
se1 13
bg roji_03a,1
quakey 3,300
その時、私は見えない何かに躓いた。@
br
まぁ、見えていたなら躓かない。@……躓いたということは見えなかったということなのだから。\
私は盛大に転んで、膝を擦り剥く。@
……痛たたたたたたたた……。@
br
膝がカーッと熱くなって、ジンジンと痛み出す。\
じわっと、血がほんのり滲み出した。@
……それをそっと、人差し指でなぞる。@
br
ほんのり、指先が赤く汚れた。\
bg black,22
……………………。@
あはは、面白い。\
;bg "bmp\background\town\roji_02.bmp",0
bg roji_03a,22
;ld l,hig_def1,0
;ld r,mar_def1,22
そんな彼女を、塀の上から見下ろす学校妖怪が二人……。\
ld c,mar_def2a,22
「……彼岸花さん、酷いです。@何も転ばすことは……。」\
ld r,hig_def3,22
ld r,hig_w3,80
「いいじゃない。@遅刻しそうで走って転んで、膝を擦り剥いて。@誰もが懐かしい日に、一度は体験しておきたいことだと思うけれど?」\
くすくすと笑う、彼岸花。@
もちろん、その姿が少女に見えることはない。\
bg black,22
「……あ痛たたた……。@……ふふ。」\
textoff
bg roji_04a,26
wait 1000
bg gakkou_01a,22
私は立ち上がり、彼方の校門を見る。@
そこで無情のチャイム。@
br
se1 69
校門がガラガラと閉められ、駆け込む生徒たちと締め出される生徒たちの悲喜劇が繰り広げられている。\
bg roji_04a,22
というわけで、ここから見ている自分は、……100%の遅刻決定。@
ということは、今さら走っても仕方ないってこと。\
「なら、歩こっ。@もう遅刻してるのに、走るなんて馬鹿馬鹿しいもんっ。」@
br
私はあっけらかんと笑いながら、悠然と歩き出す。\
bg roji_03a,22
向こうでは生活指導の先生が、早くしろと急き立てている。@
br
急いでも急がなくても、どーせ遅刻で怒られるわけじゃん?\
じゃあせめて、怒られることと引き換えに、@校門まで100mほどの、朝の散歩をのんびりと楽しませてもらわなくちゃ。\
bg "bmp\background\school\Air_02.bmp",22
いい季節だった。@
br
さっきまで全力疾走だったから汗だく。@
そんな汗を涼しく癒してくれる風が、すっごく気持ちいい。@
br
私はたっぷりと新鮮な朝を満喫してから、悠然と校門に辿り着く。\
;se1 10
;mbg white,1
;quakey 2,200
;mcbg 22
bg black,22
bg gakkou_01a,1
quakey 3,300
ごつん。@先生にゲンコツをもらう。@
br
「何をちんたら歩いてるんだッ。@遅刻だぞ、遅刻!!」@
「知ってまーす。@間に合うなら走りましたけど、もう遅刻確定だったんで。」@
「屁理屈を言うなッ。@走るのが嫌なら、明日からはもっと早く家を出ろ!」\
;mbg white,1
;quakey 2,400
;mcbg 22
ごつん。@割と容赦ない角度で脳天にもう一発もらう。@
痛てて。@ジンジンする。@
br
……………。@
あはは、面白い。\
;bg gakkou_01,22
「ほら、早く入って教室へ急げッ。@明日からはもう遅刻するんじゃないぞ!」@
「はーーーい!」@
「やれやれ…、返事だけはいいんだがなー。@ほら、早く行けっ。@廊下は走っちゃいかんぞっ。」\
と言いつつ、先生もまんざらでない感じ。@
笑顔と素直な返事は、何にも勝る子供の武器なんだから。@
br
そんなやりとりも、何だかちょっぴり面白い。\
;bg white,24
mbg black,22
先生に開けてもらった校門の隙間を通り、私は駆け出していく。@
br
うん。@今日は素敵なことがありそうな一日だった。\
textoff
mcbg 22
wait 1000
ld r,hig_def2,22
「転んで遅刻して、先生にゲンコツまでもらって、素敵な一日…? くすくすくすくす、前向きな子ねぇ。」@
ld c,mar_def4a,22
「や、やめましょうよ。@こんな悪戯。」\
ld r,hig_def4,80
「いいじゃない。@試してみたくなったわ。@あの子が、どこまでされても、今日を素敵な一日って言えるかをね。@……くす、くすくすくすくすくすくすくす。」\
cl a,22
彼岸花はニヤリと笑って、校舎を見上げる。@
br
毬枝は、悪戯好きな妖怪に好かれてしまった気の毒な犠牲者の今日一日を、心より同情するのだった……。\
bg black,22
fede 0,2000
E_A
bg kyou_03,22
bgm1 2
wait 2000
bg kyou_02a,6
「出席を取ります。@相川くん。」@
「はぁい。」@
「安達くん。」@
「ふぁーい。」\
朝の出席。@これに答えることが、学校の一日の始まり。@
学校が退屈な子や、まだまだ眠い子は、かったるい返事をする。\
何だか、勿体ないよね。@
だって、ここで元気良く返事をしたら、その分、一日が素敵になるかもしれないじゃない。\
だから、自分の名が呼ばれた時。@私は飛びきり元気な声で返事をした。@
br
「はーーーい!」@
br
直前までの低いテンションから、明らかに浮いた私の声に、みんなはきょとんと驚いてから、くすくすと笑う。\
笑いたくば笑え。@学校での一日に、同じ日など二度と訪れはしないのだ。@だから、今日という二度とない一日の始まりを、元気に挨拶するのは当り前っ。\
bg kyou_01,23
「おや、良いお返事ですね!@ みんなもこの調子で行きましょう。@次、野上さん。」@
「はーーい!」@
br
私の返事から、がらりとクラスの雰囲気が変わる。@
みんな、直前の子に負けないように元気な声で返事をし始める。\
ほら。@元気な挨拶ひとつで一日が変わるの。@
こんな当り前なこと、どうして私たちはいつもやれなかったんだろう。@
br
退屈そうに返事をして、一日を退屈に過ごしてしまった日々や人たちが、気の毒でならない。\
bg kyou_03,22
「では、宿題を集めます、ドリルを後ろから回収して先生のところへ持ってきて下さい。@まさか忘れた子はいませんよね?!@ 忘れたらどうなるか、言ってありますよね?!」\
先生がニヤリと凄む。@
宿題を忘れた子には、ほっぺたをつねってグリグリする刑が待ち受けている。@
痛いし、つねられてる時の表情が面白おかしくてみんなの笑い者になるので、好んで宿題を忘れる子はいない。\
それでも、ずぼらな男子が何人か、開き直るような笑顔で、忘れましたーと元気に宣言して席を立っている。@
br
男子はだらしないなぁ。@女子には忘れる人なんてひとりもいない。@
br
………あれ?\
bg kyou_04,0
ld c,hig_def1,23
ld c,hig_w2,80
「ドリルって、つくづく面白くないわよね。@こんなものを何ページもやらされるんだから、同情するわ。」@
ld r,mar_def2a,24
「彼岸花さん、それ……、あの子のドリルじゃ……。」\
ld c,hig_w3,80
彼岸花がぺらぺらと乱雑に扇ぐそれは、紛れもなく少女のドリル帳だ。@
それは彼女の机の中に入っていたはず……。@
br
少女は、おかしいおかしいと、机の中を覗きこんでまで探している……。\
bg black,22
「おかしいな、おかしいな……。@ちゃんとランドセルに入れたはずなのに……。@何で何で、どうしてどうして……。」@
br
後ろの席の子が、ドリルを集めながら私の席にやってくる。@
いけないいけない、早く提出しないと……。@どうして、ないんだろう。おかしいなぁ……。\
……結局。@ランドセルの中まで引っ繰り返したが、私のドリルは出てこなかった。\
bg kyou_02a,22
「ほらっ、忘れた子は前に出てきなさいッ!@ 忘れちゃ駄目よって、あれだけ言ったのに…! もーーー!!」@
br
男子5人に、女子は私だけ。@
えーもー、何でー?!@ ちゃんと宿題してランドセルに入れたはずなのにー!\
いつまでもそんなことをしてると、往生際が悪いと思われているようで気まずい。@
うーーん、きっと家の机の上に忘れてきちゃったんだろうな。@
br
ママがいつも、寝る前に忘れ物がないか確認しなさいって言ってたのを、面倒臭がってたからバチが当たったんだな…、トホホ。\
bg kyou_01,22
忘れた6人は一列に並ばされ、次々に先生にほっぺたをつねられグリグリされていく。@
どの男子たちも忘れ物の常習犯ばかり。\
「もー!@ あなたたちには何回言えば忘れ物がなくなるんです?!@ 次からは忘れたら、ダブルですよダブル!@ ブルドックになっちゃうくらい引っ張っちゃいますからね!」@
br
と凄みながら、次々にほっぺたを抓り上げて、まるでお餅のようにひん伸ばす。\
その歪んだ面白い顔を、みんながげらげら笑っている。@
br
……あー、普段なら私も笑ってる側なのにー、何たる失態。\
bg kyou_03,23
「あら、珍しい。@あなたも忘れちゃったの?!」@
「……は、はい。@……ちゃんと宿題やったはずなんですけど……、ランドセルに入れ忘れたみたいで……。」\
「あら、もー。@せっかく宿題やったのに、忘れ物で全部台無しじゃがっかりでしょう? 次からは気を付けなさいね。」\
私は常習犯じゃないから、先生もやさしく諭してくれる。@
元気良く頷いて、次から気を付けますと明るく返事。@/
……これで何とか誤魔化せたー、と思ったら、後ろ襟をむんず。\
se1 47
;mbg white,1
quakey 2,200
;mcbg 22
「でも、お仕置きはしますからねっ。@これに懲りて、二度と忘れないことですよっ。」@
「ふぎゃッ!@ むぎぎぎぎぎぎぎぎぎー!」\
se1 48
quakex 3,300
se2 47
quakey 3,300
se1 48
quakex 3,300
se2 47
quakey 3,300
私のやわらかーなほっぺが、ぐににぃと伸びて歪む。@
よほど私は面白い顔をしているのだろう。@みんな大笑いする。@
br
それが何だか面白くて。@痛いはずなのに、私まで笑い出してしまう。\
bg kyou_02a,22
「はい、おしまいっ。@席に戻って!」@
br
そう言いながら解放する先生も、つられて笑っているように見えた。\
bg black,22
ほっぺ痛い。@
みんなにも笑われた。@
でも、楽しい。@
br
私は、自分だけ先生にご褒美をもらえたかのような気持ちになりながら、席に揚々と戻る。@
br
頬の痛みは、今はくすぐったく、微笑ましいものに感じられた。\
;bg black,23
bg rouka_03,0
ld c,mar_def3a,0
ld r,hig_w2,23
ld c,mar_def2a,80
「痛そう…。@ほっぺたが、あんなに伸びるなんて……。」@
ld r,hig_def3,80
「やるわね。@あんな目に遭っても、楽しいなんて思ってられるなんて。」\
ld c,mar_w1,80
「くす。@何だか素敵ですよね。」@
ld r,hig_w3,80
「うふふ。@……面白いじゃない。@試してみたくなっちゃったわ。」@
br
彼岸花の笑みが、邪まなものに歪む。@……もっとも、清楚に歪んだ試しはないのだけれど。\
cl c,0
ld l,mar_def4a,24
「……試すって、何をですか。」@
ld r,hig_w4,80
「決まってるじゃない。@あの子が、どこまでされても、楽しいなんて思っちゃえるのかをよ。」@
ld l,mar_def2,80
「……………………。」\
彼岸花は瞳をキラキラさせてほくそえむが、毬枝は、はぁっと深いため息。@
彼女が上機嫌な時に、変に口を挟むと妙に拗ねることを、毬枝は最近、理解し始めている。@
br
……命に危害を加えようと言い出さない限りは、まぁ、大目に見ておくか。\
bg black,22
そんな毬枝の無言の嘆きなど、彼岸花が察するわけもない。@
br
;se1 27
;bg white,1
;quakey 2,300
;bg rouka_03,0
;ld c,mar_def1,22
「さぁ、試してあげようかしら。@何が起こっても、どこまであんたが楽しいなんて思ってられるかをね…!」\
fede 0,2000
E_A
bgm1 3
bg white,22
bg "bmp\background\school\Air_02.bmp",2
性質の悪い学校妖怪に目を付けられた少女の今日一日は、とにかく不幸の連続だった。\
どういうわけかその日に限って、日差しが気持ちよくて。@
ついうとうととしてしまったところで、唐突に先生に当てられて、今が教科書の何ページかわからなかったり。\
bg white,23
bg kyou_02a,23
「続きを読んで下さい。@さぁ?」@
「えっと、………あー……うー……。」@
br
うわー、先生が疑ってる。@居眠りしてたんだろーって疑ってるー、あーうー!\
se1 47
「………48ページぃ~。」@
「わ、ありがとっ。」@
br
完全に焦りかけてたところで、後ろの子が助け舟。@
こういう時、女の子の素敵な友情を感じずにはいられない。\
居眠りしちゃってたのはピンチだったけど、ちょっと素敵な気持ちになれたから良かったかな。\
bg black,22
bg rika_02,22
;wait 1000
;bg rika_04,22
お次は理科室での実験。@試験管の中の温度を測ることになった。@
br
先生に、温度計を注意して入れないと、試験管を壊してしまうと注意されていたにも関わらず、@/
se1 1006
……バリン。\
「うわ、っちゃ……、やっちゃったぁ……。」@
br
何で唐突につるんと温度計が滑るの?!@
ld r,HIG_W3,80
彼女の後ろで意地悪な学校妖怪がくすくすと笑う。\
bg rika_03,23
「もー、何やってんのよー。」@
「えへへ、ごめーん。@こんなんなっちゃった。」@
br
se1 48
試験管の底から顔を覗かせる温度計。@
se2 47
wait 300
se3 48
水鉄砲みたいにしゅこしゅこやると、それがすっごく滑稽だったらしく、班のみんながくすくすげらげらと笑ってくれた。\
se1 69
bg gakkou_02,22
まぁ、あとで先生に怒られるわけだけど、@……こういうのもすっごく楽しい。\
;wait 2000
;bg kyou_02,22
そして、給食の時間も、どういうわけかツイてない。@
牛乳を飲んでたら、唐突に鼻がムズっと来て、ハックションと大くしゃみ!@
br
幸いにも誰の顔にもブチまけずに済んだけど、私の鼻からは牛乳の雫がたらりと糸を引いて、クラス中が大笑い。\
それにつられたのか、数人の男子が同じように牛乳を噴き出したものだから、もうクラス中、大パニックの大爆笑。@
br
私も、みんなも、牛乳まみれになって笑い転げた。\
bg black,22
酷い目に遭ったけど、こんな大笑いの給食は、きっとどんな素敵な献立にも負けない。@
だから私は、ハンカチで顔を拭いながらも、まだ笑いが止まらないのだった。\
;bg rouka_02,0
bg kyou_02,0
ld r,mar_def4a,22
ld r,mar_def2a,80
「さ、さすがに牛乳飲んでる時は可哀想ですよ……。」@
ld c,hig_w4,22
「……こんな目に遭っても楽しいっての? なかなか手強いじゃない。@もう、意地でもあの子の泣き顔を見たくなったわ。」\
ld c,hig_w6,80
「泣かすッ、/
se1 2
quakey 4,300
絶対に泣かしてやるんだからっ!@ 学校妖怪序列第3位、踊る彼岸花の名にかけてっ。」@
ld r,mar_def3a,80
「そんなことに名をかけないで下さい……。」\
bg white,23
me1 31
bg "bmp\background\school\Air_02.bmp",0
print 22
給食の後は楽しい昼休み。@学校で一番楽しい時間だ。@
男子たちが一斉に教室を飛び出していく。@こんな天気のいい日に校庭を元気一杯に走り回ったら、さぞや楽しいだろう。@
br
私も友達と一緒に教室を飛び出す。\
se1v 82,90
bg rouka_02,1
quakex 3,300
「早く行こ行こ…!@ また男子にボールを全部取られちゃうよ…!」@
「遅れると、空気の抜けたボールしか残らないもんねー。」@
「どこで遊ぶ?!」@
「百葉箱のところは? あそこの芝生は気持ちいいよねー!」\
数人で集まって、温かい芝生の上でボールが一つあれば。@それだけで、昼休みのひと時は虹色に輝くのだ。\
bg white,23
bg k_kaidan_01,23
bg white,26
bg k_kaidan_02,26
bg shoukou_01,24
wait 500
E_A
se1v 10,90
ld c,HIG_W3,1
;bg white,1
quakex 4,300
se2v 13,90
bg white,1
quakey 3,400
bg black,22
あッ。/
se3v 13,50
quakey 2,200
@
br
興奮気味に走っていた為、前方が不注意だった。@
下駄箱の陰にいた子に、激しく左肩をぶつけてしまう。@
……多分、上級生の女子だろう。@髪が長くてとても綺麗なのが印象的だった。\
me1 28
bg different_spiral_1a,22
「ごッ、ごめんなさい…?!@ …………あッ……、」@
br
あまりに勢いよく片方の肩をぶつけたので、私はぐるぐるとコマのように回りながら転んでいく。@
あははは、思い切り回した、遊園地のコーヒーカップみたい……。\
;se1 35
se1 12
mbg white,1
mono 2
mcbg 22
そんな気持ちは、激しい痛みの衝撃で粉々に吹き飛んだ。@
まるで斧の分厚い刃を額にざっくりと打ち付けられたような激痛。\
;bg different_spiral_1b,22
me2 16
転んで下駄箱の角に、激しく打ち付けたに違いない。@
私は下駄箱に寄りかかりながら、……ずるりとしゃがみ込む。\
bg black,22
mono 0
bg shoukou_01,0
lsp 4,":c;bmp\efe\down.bmp",0,0,200
print 0
ld c,hig_W1,6
ld c,hig_W4,80
「……廊下は走っちゃいけないわ。@くすくすくすくす……。」@
;<彼岸花
「ご、………ごめん……な……さい…………。」@
br
努めて平静を装って笑顔で、私はそう言う。@
でも、あまりの痛みと眩暈で、目を開けることさえ出来ない……。\
lsp 4,":c;bmp\efe\down.bmp",0,0,240
print 2
「だ、大丈夫ッ?!」@
「きゃ、きゃーーッ!!@ 血、血がすごい出てるよ?!」@
「………そ、………そ…う………? ………ぅ……く………。」\
そんな大袈裟な怪我のつもりなんてない。@
それより、早くボールを取りに行かないと、……また全部、男子に取られちゃう……。@
br
……私のことはいいから……、みんな早…く……、ボール……、………取って来て………。\
bg black,25
csp 4
print 25
E_M1
se1 13
…………ぅ、……………ぁぅ………………。@
br
きゃーー、しっかりしてーー、先生ぇー、誰か先生を呼んでーー………。@
br
……………………………………。\
bg e014,5
少女は意識を失い、ずるりと姿勢を崩して床に倒れる。@
彼女がずるりと額でなぞった下駄箱には、血の帯がべっとりと付いている。@
br
それを見て、女子たちが絹を裂くような悲鳴をあげる。\
bg black,22
それを聞き付け、生徒たちが集まってくる。@何事かと先生たちが駆けて来る。@
その人だかりの輪の中で、……少女は鮮血を零し続けながら、意識を失う。\
se1 83
;ld r,hig_def1,0
;ld c,mar_def1,3
その輪を抜けて、平然と歩み去る上級生らしい女子の姿は、ニンゲンたちには見えていないようだった……。\
bg shoukou_01,22
ld c,mar_i2a,24
「い、いくら何でもやり過ぎですっ!」@
ld r,hig_def2,22
「保健室程度の怪我だからいいじゃない。@命に別状があるわけじゃないし。」\
ld c,mar_i3a,80
「度合いの問題じゃないですっ、怪我をさせるなんてやり過ぎだって言ってるんですっ。」\
ld r,hig_w3,80
「……何を甘えてるのよ、毬枝? 私は妖怪よ?@ 気に入った生徒を保健室へと引きずり込む、踊る彼岸花。@……その私が気に入ってしまったのよ?@ 転んでも遅刻しても、忘れ物をしても抓られても、@何をやっても楽しい楽しいと言ってしまうあの子を、私は何が何でも泣かせてやりたいのよ。@くす、くすくすくすくすくすくすくす。」\
;bg black,22
;wait 1000
bg rouka_02,22
少女は保健室へ担ぎ込まれていく。@
br
心配そうに友人たちも付いてくるが、保健室の中までは入れてもらえない。@
無事を祈り、すごすごと引き上げる他なかった。\
bg black,22
fede 0,2000
E_A
bg hoken_01,22
me1v 11,90
保健室の中では、保健の先生たちが容態を見ている。@
br
「どうですか、先生っ。@救急車を呼んだ方がいいですか…。」\
ld c,HOK_def4,22
「大丈夫っ。@額を綺麗に切っちゃっただけでしょ。」@
「で、でも、意識を失ってますし……。」\
ld c,HOK_def2,80
「大丈夫だってっ。@子供はね、そんなヤワじゃないの!@ たくさん血が出たのを見ちゃったから、ちょっとびっくりしちゃったんでしょ。@しばらく休ませて様子を見ましょう。@担任の先生に、しばらく休ませると伝えてもらえます?」@
「あ、はい、わかりましたっ。」\
bg hoken_03,24
幸いにも、見た目ほどの大怪我ではないらしい。@
br
少女は包帯を頭にぐるぐる巻きにして、ベッドで横になっている。@
確かにその姿は痛々しいが、……表情を見る限り、確かに穏やかそうだった。\
実際、少女自身も、そう深刻な怪我をしたとは思っていない。@
意識は少し遠いがちゃんとある。@先生たちには眠っているように見えているが、実際は少しだけ周りの様子が聞き取れていた。\
bg black,22
fede 0,1000
E_A
bgm1 4
……良かった。@大した怪我じゃ、ないみたい。@
br
安堵するけれど、……ちょっと残念な気持ちにもなる。\
こんなお天気のいい日に、チャイムと同時に教室を駆け出して、……目一杯遊ぶつもりだったのに。@
下駄箱に頭をぶつけて、……台無し。@
br
……たんこぶくらいで済むと思ったのにな。@まさか、倒れちゃうなんて……。\
はぁ。@……………今日は、何かツイてないな。@
br
でも、……ま、……いいか。@
保健室のベッドって、……一度、寝てみたいと思ってたし。@
その夢が叶ったから、よしとする……か。\
se1v 69,20
bg hoken_01,2
wait 2000
遠くで、昼休みの終わりを告げるチャイムが聞こえる。@
……5時間目、何だっけ。\
そうだ。体育だ。@
今からすぐ起き上がれれば、昼休みに遊べなかった分、思い切り体を動かせるかも。@
br
……………………………。@
br
気持ちはもう元気なのに、……体が、まるで寝惚けてるみたいに重くて、言うことを聞かない。\
bg hoken_03,22
……あーあ……。@
今日という、○月○日○曜日という素晴らしい一日は、もう二度とないというのに。@
何でその貴重な学校生活の一日を、……こんなところで寝て過ごしてるんだろ。\
…………転んだり。@忘れ物をしたり。@
はぁ。@
br
………やっぱり、……今日はツイてないや……。\
保健室のベッドで寝る夢が叶ったと、精一杯プラス思考で考えていた少女も、@……重なる不運に、さすがに落胆する。\
bg hoken_01,22
「…………はぁ…………。」@
「起きた?」@
br
保健の先生が気付く。\
;「……………はぃ……。」@
ld l,HOK_def3,23
「具合はどう? 頭痛とかある?」@
「……全然へっちゃらです。」@
ld l,HOK_def2,80
「ふむ。@判決っ、もうちょっと寝てなさい。」\
保健の先生の表情は明るい。@大怪我じゃないことがわかって嬉しかった。@
br
……なら、すぐにも授業に戻りたい。@
今日という日の5時間目という授業は、今日にしかない。@
その、たった一度の今日という日の授業を、こんなところで寝て過ごしたくなんかない…。\
bg black,22
se1 82
bg hoken_04,24
「大丈夫ですか?!@ 廊下を走ったりするからこういうことになるんですよ、もうっ。」@
br
担任の先生がやってきて、怒られた。@
保健の先生が、まぁまぁと庇ってくれる。\
「走ってはいけないということは、本人もガツンと痛い思いをして勉強したでしょうから。@ね?@ もう走ったりしないわよね~?」@
「………はい。」@
br
私が頷き返すと、先生たちも安堵の微笑みを浮かべる。\
「もうしばらく寝かせてあげようと思います。@帰りのホームルームには多分、戻れると思います。」@
「そうですか、ありがとうございます。@じゃ、ゆっくり休んでね? 無理しちゃ駄目よっ。」\
「体育、したいです……。」@
「運動して傷が開いちゃったらどうするんですっ。@5時間目が終わって、起きれそうだったら戻ってらっしゃい。@いいですね。」\
5時間目が終わったら、もう授業はない。@
つまり、……今日という日の学校生活は、もうこれで終わってしまうのだ。\
私は、もう全然へっちゃらなんですと言いながら起き上がろうとする。@
それを先生に制止され、寝てないと駄目ですっ、と怒られる。@
br
私なりに元気さをアピールしようと思ったのだが、ことごとく駄目だった。\
se1v 69,20
bg black,2
;bg gakkou_01,22
やがて担任の先生は出て行き、@5時間目の始まりを告げるチャイムが鳴る。\
me1v 31,40
校庭から聞こえるホイッスルの短い音や、みんなの元気な掛け声が聞こえてくる。@
私のクラスメートたちの声だ。@彼らの姿が見えなくても、ここで聞いているだけでわかる。\
……また、藤井くんたちがはしゃいでふざけてる。@
それを、女子のリーダー格、根岸さんたちが注意して、口論になって、……それを先生に注意されてる。\
bg hoken_03,22
……あはは。@校庭を見ることは出来なくても、この保健室の中から耳を澄ますだけで、手に取るようにわかる。@
br
保健室は校庭に面しているのだから、校庭の声はとてもよく聞こえるのだ。@
だから、こうして保健室の天井を見上げることしか出来なくても、……こんなにもみんなのことがわかる。\
bg black,22
fede 10,1000
E_MA
こんなにも、みんなのことがわかるくらい、すぐ近くなのに。@
……なのに、私にはみんなの姿が見えなくて。@……私だけが、みんなの中に加われない。@
br
そんな、とても近いのに、とても遠い世界に自分がいることが、…………悲しかった。\
bg hoken_02,2
ld r,hig_w4,22
「くすくすくすくすくす……。@……さすがに今度は堪えたようね。@私の勝ちだわ、うっふふふふふ……。」\
ld c,mar_def2,22
「……はぁっ。@こういう時の彼岸花さんは、ちょっと軽蔑します。」@
ld r,hig_w3,80
「いいじゃない。@保健室のベッドで寝てみたいという夢を、叶えてあげたのだし。」\
ld c,mar_def3,80
「……可哀想に。@みんなと一緒に体育、したかったでしょうに。」\
bg hoken_05,22
me1v 31,0
fedexx 70,40,0,0,0,0,3000
「保健室はね、校庭の声がとてもよく聞こえるのよ。@……誰が、どんなことをして、どんな遊びをしているのか。@……とてもよくわかるのよ。」@
br
保健室の主は、遠くを見るような目で、そう言った。\
「……こんなにも、みんなが楽しそうにしているのをすぐ近くで感じることが出来るのに。@……その姿を見ることも、加わることも出来ない。」@
br
「それは、……彼岸花さんのこと、ですか……?」\
「…………………。@それが学校妖怪の、……いえ、人ならざる世界の話だというだけのことよ。」\
bg black,22
fede 10,1000
E_MA
……死後の世界って、……こういうところなのかな。@
br
少女も、同じことを思う。\
もし。@私が死んだなら。@
br
……まだまだこの世に未練があるから、きっと成仏しないで、幽霊になりたいと願うだろう。\
幽霊になったら、私はどこにいるんだろう?@
br
私は学校が楽しいし。@
考えてみれば、家で過ごすより、学校で過ごす時間の方が多いと思う。@
br
だからきっと、……私が幽霊になったら、学校に出る幽霊になると思う。@
br
そんなことを、これまで漠然と考えてきた。\
……しかし、今、こうして保健室で横になり、@……校庭で楽しそうにしているみんなの声だけが聞こえていると。@
br
それはちょっぴり、………寂しいことなのかなと、思えてしまうのだ。\
私はこんなにもみんなの近くにいて。@
みんなが何をして遊んでいるのか、手に取るようにわかるのに。@
br
………でも、みんなに加わることは出来なくて。@その姿を見ることさえ、叶わない。\
bg hoken_03,22
「…………やだな。@………そんな幽霊。」@
br
でも、ここで寝ている自分は今、学校の幽霊なのだ。@
……私、……ひょっとして、さっき下駄箱で頭を打った時。@……実は死んでいて、……ベッドの上で、死体になっているんじゃないか。@
そんな妄想が過ぎる。\
それが怖くて、……両手の指をもぞもぞと動かす。@
……動く。@……私は、死体じゃない。\
でも、ここで寝てる限り、………死体なんだ。@幽霊なんだ。@
br
……幽霊って、もっと楽しいものだと思ってた。@
好きに姿を消したり、不思議な悪戯をしたりして、……いつまでもみんなと一緒にいられるものだと思ってた。\
嫌だ。@
こんなの幽霊ですらない。@……嫌だ、こんな死体みたいな自分………。\
bg black,22
bg hoken_02,22
se1v 69,20
チャイムが鳴り、5時間目の終わりを告げる。@
me1v 23,20
すると、電話が鳴った。@
br
e_m1
se1 53
保健の先生が受話器を取る。\
あーあー、お世話になってますー、えぇえぇ、どーもー。@
br
そんなことを言いながら受話器を置くと、私の様子をちらりと見てから、保健室を出て行ってしまった。\
bg black,22
fede 0,1000
E_A
wait 1000
bg hoken_03,2
me1v 11,90
足音が遠ざかり、……保健室はシンと静まり返る。@
br
私はゆっくりと体を起こす。@
br
……あ、いつの間にか大丈夫。@
運びこまれた時は、あんなにも体が重かったのに。@今はもう、すっかり元通りだった。\
「……私、いつまでここにいればいいのかな……。」@
br
首を回したり、肩を回したりしてみる。@
恐る恐る頭の包帯にも触れてみる。@
…………………。\
「うん。@へっちゃら。」@
br
……早く、保健の先生、戻ってこないかな。@
br
今から戻れば、清掃の時間には間に合う。@
今日の学校生活で、今から参加可能な、最後の行事だ。\
bg black,2
しばらく先生の帰りを待ってみたが、……一向に帰って来ない。@
……………………………。\
bgm1 1
E_MA
se1v 13,50
bg hoken_01,26