forked from Ronove/Project-Night-One
-
Notifications
You must be signed in to change notification settings - Fork 0
Expand file tree
/
Copy pathChapter6.script
More file actions
7776 lines (5002 loc) · 184 KB
/
Chapter6.script
File metadata and controls
7776 lines (5002 loc) · 184 KB
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
114
115
116
117
118
119
120
121
122
123
124
125
126
127
128
129
130
131
132
133
134
135
136
137
138
139
140
141
142
143
144
145
146
147
148
149
150
151
152
153
154
155
156
157
158
159
160
161
162
163
164
165
166
167
168
169
170
171
172
173
174
175
176
177
178
179
180
181
182
183
184
185
186
187
188
189
190
191
192
193
194
195
196
197
198
199
200
201
202
203
204
205
206
207
208
209
210
211
212
213
214
215
216
217
218
219
220
221
222
223
224
225
226
227
228
229
230
231
232
233
234
235
236
237
238
239
240
241
242
243
244
245
246
247
248
249
250
251
252
253
254
255
256
257
258
259
260
261
262
263
264
265
266
267
268
269
270
271
272
273
274
275
276
277
278
279
280
281
282
283
284
285
286
287
288
289
290
291
292
293
294
295
296
297
298
299
300
301
302
303
304
305
306
307
308
309
310
311
312
313
314
315
316
317
318
319
320
321
322
323
324
325
326
327
328
329
330
331
332
333
334
335
336
337
338
339
340
341
342
343
344
345
346
347
348
349
350
351
352
353
354
355
356
357
358
359
360
361
362
363
364
365
366
367
368
369
370
371
372
373
374
375
376
377
378
379
380
381
382
383
384
385
386
387
388
389
390
391
392
393
394
395
396
397
398
399
400
401
402
403
404
405
406
407
408
409
410
411
412
413
414
415
416
417
418
419
420
421
422
423
424
425
426
427
428
429
430
431
432
433
434
435
436
437
438
439
440
441
442
443
444
445
446
447
448
449
450
451
452
453
454
455
456
457
458
459
460
461
462
463
464
465
466
467
468
469
470
471
472
473
474
475
476
477
478
479
480
481
482
483
484
485
486
487
488
489
490
491
492
493
494
495
496
497
498
499
500
501
502
503
504
505
506
507
508
509
510
511
512
513
514
515
516
517
518
519
520
521
522
523
524
525
526
527
528
529
530
531
532
533
534
535
536
537
538
539
540
541
542
543
544
545
546
547
548
549
550
551
552
553
554
555
556
557
558
559
560
561
562
563
564
565
566
567
568
569
570
571
572
573
574
575
576
577
578
579
580
581
582
583
584
585
586
587
588
589
590
591
592
593
594
595
596
597
598
599
600
601
602
603
604
605
606
607
608
609
610
611
612
613
614
615
616
617
618
619
620
621
622
623
624
625
626
627
628
629
630
631
632
633
634
635
636
637
638
639
640
641
642
643
644
645
646
647
648
649
650
651
652
653
654
655
656
657
658
659
660
661
662
663
664
665
666
667
668
669
670
671
672
673
674
675
676
677
678
679
680
681
682
683
684
685
686
687
688
689
690
691
692
693
694
695
696
697
698
699
700
701
702
703
704
705
706
707
708
709
710
711
712
713
714
715
716
717
718
719
720
721
722
723
724
725
726
727
728
729
730
731
732
733
734
735
736
737
738
739
740
741
742
743
744
745
746
747
748
749
750
751
752
753
754
755
756
757
758
759
760
761
762
763
764
765
766
767
768
769
770
771
772
773
774
775
776
777
778
779
780
781
782
783
784
785
786
787
788
789
790
791
792
793
794
795
796
797
798
799
800
801
802
803
804
805
806
807
808
809
810
811
812
813
814
815
816
817
818
819
820
821
822
823
824
825
826
827
828
829
830
831
832
833
834
835
836
837
838
839
840
841
842
843
844
845
846
847
848
849
850
851
852
853
854
855
856
857
858
859
860
861
862
863
864
865
866
867
868
869
870
871
872
873
874
875
876
877
878
879
880
881
882
883
884
885
886
887
888
889
890
891
892
893
894
895
896
897
898
899
900
901
902
903
904
905
906
907
908
909
910
911
912
913
914
915
916
917
918
919
920
921
922
923
924
925
926
927
928
929
930
931
932
933
934
935
936
937
938
939
940
941
942
943
944
945
946
947
948
949
950
951
952
953
954
955
956
957
958
959
960
961
962
963
964
965
966
967
968
969
970
971
972
973
974
975
976
977
978
979
980
981
982
983
984
985
986
987
988
989
990
991
992
993
994
995
996
997
998
999
1000
;Chapter 6
ひとりの少女が、階段を上っていた。\
bg kaidan_01,2
その足取りは、ゆっくり、……ゆっくり。@
br
一段一段、踏みしめるかのように、ゆっくりだった。\
一段一段、それぞれの段に別れを告げるかのように、ゆっくり、ゆっくり。@
br
少女は階段を上る。\
bg black,22
bg kaidan_03u,22
少女にとって、それぞれの段は。@
上れど、下ることのない階段なのだ。\
校庭からは部活に汗を流す生徒たちの、元気な声が聞こえてくる。@
br
しかし、放課後の校内は、吐息さえ木霊してしまうのではないかと思うほどに静か。\
だから、校庭からの元気な声がとても遠く聞こえ、@なのに自分のいる校内は、まるで別世界のように静まり返っていて。@
br
それが、自分と彼らがどれほど遠く、@そして決して交わることのない世界にいるかを教えてくれた。\
bg black,22
bg kaidan_04u,22
me2v 5,50
上る階段は、最上階でとうとう行き止まる。@
br
そこは、屋上の扉。\
屋上という名の行き止まりを意味するそこは、少女にとっての終着駅であり、@………でも彼女はそこを、新たな出発の場所だと信じていた。\
mbg black,22
少女は腕に痛々しく包帯を巻いていた。@
br
スカートの陰でわからないが、その足にも、ひどい傷痕が未だに残っている。\
それらの傷は、いじめや事故によるものではない。@
br
全て、彼女が自ら望んで、自らを傷つけたものだ。\
;bg white,1
;se1 35
;bg blood_2a,22
mcbg 22
なぜなら。@
br
大きな怪我を負うと、@この煩わしくて、腹立たしい世界から、一時的に逃避できることを知ってしまったからだ。\
bg black,22
fede 0,2000
E_A
mono 1
bg roji_01,22
bgm1 14
家も学校も、煩わしかった。@
いや、世界そのものが煩わしい。\
誰も彼もが愚かしくて、馬鹿らしくて。@愚鈍で間抜けで生きる価値がなくて。@
br
どうして、自分のような知的な人間が、このような世界に産み落とされたのか、@ついに理解することが出来なかった。\
bg black,22
mono 0
だから、少女の表情に、悲しみは一切なかった。@
あるのは、この世界と人間たち全てへの、蔑みと哀れみ、そして何より、怒り。@
br
……自分という、特別な存在を、@このような間違った世界に産み落とした、天への怒りに、満ち溢れていた。\
彼女にとって、自分を理解できないこの世界の無理解は全て、腹立たしいものだった。@
br
それどころか、自分の知性を理解できず、自分を彼らと同じ存在として扱おうとする、@両親や教師、あるいはクラスメートたちと同じ空気を吸うことが、もはや我慢ならなかった。\
;bg black,22
;mono 0
;bg white,1
;se1 35
;bg blood_2a,22
mono 1
bg hoken_01,22
me1v 16,50
だから、自らを傷つけることを覚えた。\
大きな怪我は保健室や病院へと、一時だけ自分を守ってくれるのだ。\
そして、保健室や病院は、自分の価値をわずかに理解し、@私に与えられるに相応しい待遇を、わずかにだけ与えてくれる。@
br
それを繰り返す内に、……彼女はより大きな傷を求めるようになり。@
br
……最終的に、今日に至った。\
bg black,22
mono 0
;bg white,1
;se1 35
;bg blood_2a,22
bg kaidan_04u,22
保健室も病院も、治療が終わると、彼女を再び、苛立たしい元の世界へ突き戻してしまう。@
br
だから、絶対に突き戻されない傷を、彼女は求めた。@
それが傷では済まないかもしれないことも、もちろん理解している。\
;bg Different_spiral_1b,22
しかし、それはそれで好都合だった。@
br
なぜなら、永久にこの腹立たしい世界へ戻らなくて済むことを意味するのだから。\
怪我でも、そうでなくても。@どちらでもいい。@
だから彼女は彼女なりに、……悠然とした表情を浮かべているのだ。\
bg black,22
mono 0
bg white,63
E_A
se1 16
bg okujou_01u,22
me1v 5,50
屋上に出ると、ざぁっと鋭い外気が少女の髪を乱暴に散らした。@
br
校庭では、部活の生徒たちが楽しげに汗を流しているのが見える。\
「……馬鹿みたい。@どいつもこいつも、クズばっか。」@
br
低俗なことしか頭にない単細胞どもが、群れて笑って、下卑て、私を嘲笑う。\
どいつもこいつも、死んでしまえ。@
br
死んで、私が如何に優れた、お前たちとは違う存在だったかを、思い知るがいい。\
bg black,22
でも、私の明晰な頭脳が告げる。@
間違っているのはこの世界でも、この人間たちでもない。@
br
間違っているのは、……私がここに、産み落とされたことなのだ。\
ここは、低俗なる者たちの住まう世界。@
それが天のミスで、私をここへ産み落とすというあってはならぬことを許したのだ。@
br
つまり、私がここにいることが、間違っているのだ。\
bg okujou_02,22
少女は唾を吐き捨てる。@
br
フェンスをよじ登り、その上に腰掛ける。\
quakey 1,100
ここから、……ブランコからでも飛び降りるように、ひょいっと降りれば、@……この汚らわしい世界から、私は解放されるのだ。\
bg black,22
fede 0,1000
E_A
wait 1000
さぁ、おいで。@
bgm1 6
br
声が、囁く。@
私に、この苦痛に満ちた世界から救われる道を教えてくれた、あの声が再び囁く。\
怖いの?@
br
声が、くすりと笑い、私の決意を問う。\
bg okujou_02,22
me1v 5,50
怖くなんかない。@
br
そんな気持ち、とっくの昔に捨て去っている。\
me2v 17,70
今の私にとって、明日を迎えてもなお、@この汚らわしく愚かしい世界に存在し続けなくてはならないことほど、恐ろしいものなんて、存在しないのだから。@
br
あの、愚か者たちによる蔑みに満ちた教室に、@再び通わなければならない恐怖に比べたら、こんなもの。\
E_MA
quakey 1,100
「やめてっ。@考え直してください…!@ 死は、解放なんかじゃありませんっ。」@
br
その声は唐突に、私の後ろから聞こえた。\
……誰?@ この屋上には、私しかいないはず。@
br
それは、私を今日まで導いてくれた声と同様の、耳に聞こえる声ではない。@心だけに聞こえる声だった。@
br
であるにも関わらず、その声の主が、そこにいることを私は理解できる。\
bg black,24
bg okujou_01u,24
ld c,MAR_Def3a,2
だから振り返ると、@……臆病そうな少女が、フェンスの上に座る私を見上げているのが見えた。\
ld c,MAR_I1a,80
「そこから降りて下さい。@そこは、危ないです……!」@
br
無責任な言葉を繰り返し、私にここから降りろと命じるのだ。\
……もう、命令はたくさん。@
br
あんたたちの愚かしく意味もない命令に、私はどれだけ耳を我慢してきたと思ってるの?\
もうたくさん。@
br
私はもう、誰の言葉にも耳は貸さない。\
ld c,MAR_I3a,80
「お願い、飛び降りないで下さい…!@ だって、死ぬ覚悟があるなら、出来ることがたくさんあるはずです!」@
;<毬枝
「………はっ。」\
;se1 8
;quakey 1,100
その眼鏡の少女の懇願に、私は馬鹿馬鹿しいと吐き捨てる。\
「死ぬ覚悟があるなら、出来ること。@………出来ることって何よ?」@
ld c,MAR_Def3a,80
「そ、それはその……………、」\
「……ないのよ。@何も。@私にこの世界でしたいことなんて、何もないわ。@でも、必要なものはある。@……私の知性と高潔を理解できる世界よ。@そしてそれは、ここじゃない。@なら、私がすべきことは明々白々にしてたった一つだわ。@……この、私が居るべきでない世界から、一刻も早く立ち去ることよ。」\
ld c,MAR_I3a,80
「立ち去るって、死ぬことじゃないですか…!」@
「死ぬんじゃないわ。@この愚か者たちの世界から、私に相応しい世界に移るだけよ。@……“声”は、私を理解し、その世界へ移る方法を教えてくれたわ。」\
me1v 17,50
“声”。@
br
私をここまで誘ってくれた、私を唯一理解してくれるもの。\
ld c,MAR_I1a,80
「その声は、あなたを死なせようとしているだけ!@ 誑かしているだけなんですっ。@……どうか現実から目を背けないで!@ そして戦って!@ 死は唯一の安息だなんて、勘違いをしないでっ!」\
「……誰よ、あんた。@……あんただって、死によって解放された存在のくせに。」@
ld c,MAR_Def3a,80
「…………………っ。」\
私は、わかっていた。@
br
無責任に捲くし立てて、私に死ぬなと絡む彼女の正体が、この世ならざる者であることを。\
おっかしい。@
br
死神ってのは知ってたけど、生きろって絡んでくるヤツがいるなんて初めて知った。\
ld c,MAR_I3a,80
「私は、……確かに、……死んでるかもしれませんっ。@でも、だからって、……何かから解放されたわけじゃありませんっ。」\
se1v 8,50
quakey 1,100
「あんたがこの世界にいるのは、@死してなお、ここがあんたに相応しい世界だからということよ。@……あんたという、愚かで劣等な知性に相応しい、ね。」\
mbg black,22
「私は違うのよ。@……私は知的で高潔。@そう、私は天才なの。@それがあまりに逸脱してるから、この愚かな世界では理解されないだけ。@そう、ここは白黒テレビの世界なの。@テレビが白黒なんだもの、何を映したって、全て白黒。@私という総天然色の存在だって、この世界ではただの白黒にしか見えない。私には私に相応しい高貴な世界があるの。@死は、そんな私を、相応しい世界へ連れて行ってくれるだけの、@渡し舟でしかないのよ。」\
mcbg 22
ld c,MAR_N1,80
「………でも、……でも………!」\
;<毬枝
bg black,23
bg okujou_02,23
「じゃあね、バイバイ。@さぁ、私を相応しい世界に連れてって……。」@
ld r,MAR_N1,24
「待ってっ、…………あッ…!!」\
;<毬枝
E_A
se1 8
quakey 1,100
bg white,28
bg "BMP\background\school\air_01.bmp",22
フェンスの上の少女は両腕を広げ、空へ飛び立つ。@
br
眼下なんか見ない。@
大空を見上げたまま、その真っ青な世界に飛び込んでいった。\
そのまま、彼女は大空へ飛んでいきたかったのだろう。@
br
でも。\
bg white,25
bg black,25
bg white,25
se1 13
se2v 12,50
bg blood_1aR,1
quakey 3,300
bg black,42
;bg okujou_02,22
bgm1 8
すごくすごく当然に当り前に、……彼女は真下に転落した。\
ドラマチックにスローモーションで、なんてことはまったくない。@
br
ぽん、とフェンスから飛び降りて、ぐしゃり、ばきぽきと、打ち付けられて。@
ほんの、瞬き一つか二つの間に、あっさりとそれは終わってしまった。\
彼女にとっての一大イベントは、@……この世界にとって、それくらいに下らないことだった……。\
bg black,2
se1v 38,70
bg aka1,8
me1v 16,50
歪な格好で横たわった少女の骸から、ゆっくりと、真っ赤な血の花が咲いて、広がっていく。@
br
茂みの陰に落ちた彼女のことに、校庭の誰も、気が付かない。\
そして、じっとりと広がった血溜まりから、@……ゆっくりと真っ赤な蕾が首をもたげて、何本も生えていった。\
bg black,6
se1v 22,50
bg e013,46
それはゆっくりゆっくりと蕾を広げ、大きな特徴的な花を開く。@
血を吸い、真っ赤に染まった、……彼岸花だった。@
br
彼岸花が、次々に咲き乱れていく。@まるで、骸を飲み込んでしまうかのように。\
mld c,HIG_W3,6
そして彼岸花の花の茂みから、……真っ白な腕が、すぅっと生えて。@
彼女の骸を抱き締める姿となった。@
br
それは、咲き乱れる彼岸花を、自らの名とする、妖怪……。\
bg black,22
fede 10,1000
E_MA
bg gakkou_02u,2
mld c,HIG_def3,80
「くすくすくすくすくすくすくす……。@ずいぶんと待たせたわね、本当に。」\
;<彼岸花
彼岸花は笑う。@
骸の少女を抱き締めながら。@
br
親友との、百年ぶりの再会を思わせるような、慈しみの表情を浮かべて。\
mcl c,0
bg black,2
lsp 4,"bmp\background\efe\punch_l1.bmp",0,0,30
print 6
lsp 4,"bmp\background\efe\punch_r2.bmp",0,0,50
print 6
やがて、骸の口から、……すぅっと、淡い煙のようなものが出てくる。@
br
肉の檻より解放された、少女の魂だ。@
世界を愚かだと蔑み、自分に相応しい世界が他にあると信じた、哀れな魂。\
;se1 9
;bg white,1
;csp -1
;print 0
;bg black,22
彼岸花は、白く細い指で、天へ昇ろうとするその魂を、からかうように弄る。\
csp -1
bg black,22
;bg gakkou_03,0
ld c,HIG_W1,22
ld c,HIG_def3,80
「……あぁ、本当にみすぼらしい、哀れな魂だわ。@……本当に本当に私好みのね。@よくも、ここまで美味しく育ってくれたものだわ。@くす、くすくすくすくすくすくすくすくす…!!」\
;<彼岸花
魂は、弄ぶ彼女の指を逃れ、天へ昇ろうと足掻いている。@
br
それはまるで、ヘリウムの抜けた弱々しい風船を弄ぶのにそっくりだった。\
;quakex 1,100
bg black,22
「彼岸花さんっ、……その子を、許してあげて下さいッ!」\
;<毬枝
bg gakkou_02u,0
ld l,HIG_W3,22
ld l,HIG_W2,80
「……あら、毬枝じゃない。@うっふふふふふふふふふふふ、御機嫌よう。」@
;<彼岸花
ld r,MAR_I4a,22
ld r,MAR_I3a,80
「その子は、……可哀想な子なんです…!@ きっといつか、自分の過ちに気付いてくれますから……、@だから許してあげて下さい…!」\
;<毬枝
ld l,HIG_Def5,80
「嫌ァよ。@こんなにも美味しそうに育て上げるのに、どれだけ時間を掛けたと思っているの?」\
ld l,HIG_W4,80
「自分が世界で一番優れていると、何の根拠もなく信じていて。@自分では何の努力もせず、ただ世界を呪うだけ。@自分は全知全能にして高潔と信じて疑わない、素敵で愚かなニンゲンを見つけ出し。@それを手間暇かけて、ゆっくりと料理してきたのよ……?」\
;<彼岸花
ld r,MAR_I1a,80
「それは、彼岸花さんがそう唆したからで……。」@
;<毬枝
cl l,0
ld c,HIG_Def4,23
「唆す?@ 私が……?@ それは酷い勘違いだわ。@私は彼女が苦しんでいたから、それから解放される術を教えただけ。」\
ld c,HIG_W3,80
「……それに毬枝。@あなたも話してみて思ったでしょう?@ この子は本当に高慢で己を省みない、思いあがりも甚だしい愚かな子。@世界の愚かさを嘲笑うことで、己の愚かさから目を逸らしていた。」\
;<彼岸花
bg black,22
me1v 5,50
確かに彼女は高慢だった。@
br
彼女が信じるほど、自身が全能であった事実はまったくない。\
彼女は自身が信じるほど聡明ではなかったし、知性など何もなかった。@
br
あったのは、自分の意見が周囲に理解してもらえないのは、@自身が優れ過ぎているからだという自己弁護だけだ。\
……彼女は、恐らくむしろ、愚かだったのだ。@
br
自分の意見を、周囲に理解させるという能力の欠落した、愚かな少女だった…。\
;bg black,22
;bg okujou_02,22
bg e013,22
そんな少女に、怪我をする喜びを教えた。@
br
保健室通いを教え、病院通いを教え、自傷が束の間の逃避になることを教えた。\
そして、死を選ぶことが、全てからの解放であり安息であると教えた。@
br
じっくりとゆっくりと、か弱い魂を料理して、死に誘っていった。\
やがて少女は、……自らの意思で、その命を、捨てる。\
;se1 8
;quake 1,100
;bg white,28
;bg black,2
;bg e013,22
ld c,HIG_W1,22
fede 1,1000
E_B
ld c,HIG_def5,22
誘った妖怪は、ただ下で待ち受け、大きく口を開いていただけだった。@
br
それが、学校妖怪序列第3位“踊る彼岸花”の、狩り。\
bg black,2
fede 0,2000
E_A
bg gakkou_02u,0
ld l,HIG_W4,0
ld r,MAR_I1a,22
ld l,HIG_W3,80
bgm1 5
彼岸花は、くすりと笑うと、天へ逃れようとする魂を、指で弄ぶのを止める。@
br
絡まりが解け、魂はほっとしたかのように、ゆっくりと天へ昇っていく……。\
……彼女の魂はやがて、理解してくれるだろう。@
br
死は、何の解放にも、そして解決にもならないことを。@
そして、生がどれほど尊いものであったかを、理解して欲しいと思う…。@
br
毬枝のその祈りを、彼岸花は笑う。\
ld l,HIG_Def4,80
「それは、生ある内に悟るべきものよ……?@ 死んでからそれを悟るのも、酷な話だとは思わない…?」@
;<彼岸花
ld r,MAR_Def3a,80
「……それは、………………。」\
;<毬枝
毬枝は言い返せない。@
今さら、名も知らぬ少女が生の尊さを理解したところで、……もう取り返しはつかない。\
でも、それでもせめて、理解してもらいたかった。@
br
しかし、彼岸花の言うとおりなのだ。@もう、全ては遅い…。\
bg black,22
輪廻転生があったなら、次の生では精一杯生きてほしいとも願える。@
br
しかし、……死を越えた毬枝は、知ってしまっている。\
輪廻転生などは、存在しない。@
br
人は死ねば、それで全て終わりなのだ…。\
bg gakkou_02u,0
ld c,HIG_W1,22
ld c,HIG_W2,80
「だから、今さら彼女の魂に、理解も悟りも、ましてや安息さえ必要ない。@……でしょう?」@
;<彼岸花
ld l,MAR_Def3a,22
「………………………。」\
;<毬枝
se1v 66,100
bg white,26
bg e013,26
E_B
E_MA
se2 36
quakey 4,300
その時、一斉に彼岸花の茂みが、@/
me1v 16,50
……まるで爬虫類を思わせる機敏な動きで伸びて、天へ逃れようとする魂を捕らえ、花弁の口で飲み込んだ。@
br
それは花の姿を模した無数の蛇たちが、一斉に獲物に飛び掛かったように見えた…。\
哀れで愚かな魂を、……ガツガツと引き千切り、花々の花弁に飲み込む。\
;bg white,26
;bg "BMP\background\efe\red1.bmp",26
;se1 12
;quakex 2,200
;se1 12
;quakey 2,200
;se1 56
;bg black,0
;print 99,1000,"whirl.dll/r"
bg black,2
bg gakkou_02u,2
ld r,HIG_w4,6
;ld r,HIG_W6,80
「ごちそうさま、愚かな子……。@……ごめんなさいね、私、ついにあなたの名前を覚えられなかったわ。@………くす、……くすくすくすくすくすくすくす。」@
;<彼岸花
ld l,MAR_Def2n,22
「…………………………。」\
;<毬枝
ld r,HIG_Def3,80
bgm1 14
「毬枝。@これは愚かな少女の、自業自得の物語。@私はそのピリオドを打っただけ。@……妖怪がニンゲンを唆し、@それに耳を貸してしまう愚か者を食らうことに、何か問題が…?」@
;<彼岸花
ld l,MAR_Def3n,80
「…………ありま……、せん。」\
;<毬枝
bg black,22
fede 10,1000
E_MA
彼岸花の狩りは、妖怪のものとしては、慈愛に満ちたものだった。@
br
彼岸花は、囁いただけ。\
哀れな少女には、最後まで自らの意思で、死を拒むことが出来たのだ。@
br
少なくとも今回の狩りに関してだけは、……毬枝には何も言うことが出来ない。\
bg AIR_01,22
;ld l,MAR_Def2n,80
毬枝が、愚かな少女の存在に気付いた時は、もう手遅れだった。@
彼女に愚行を思い留まるよう何度も囁き掛けたのだが、……それは届かなかった。@
br
もっと早くから気付いていたら、……彼女に思い留まらせることも、出来たかもしれない……。\
ld r,HIG_W4,22
「私の狩りの、邪魔がしたいわけ……?」@
;<彼岸花
ld c,MAR_Def3a,22
「………………………。」@
;<毬枝
br
彼岸花が、笑みを浮かべたままの表情で、わずかに凄む。@
しかし、すぐにくすりと笑い、肩を竦めて見せる。\
ld r,HIG_W3,80
「いいのよ。@同じ獲物を奪い合うことだって、私たちの世界ではよくあること。@……強い方が、獲物を得る。@私が毬枝より強かったから、私が獲物を得た。@……それだけのことよ。@毬枝は私のお友達でしょう?@ だから、こんなことで私は嫌いにならないから安心してちょうだい。@くすくすくす……。」\
;<彼岸花
cl r,22
彼岸花は、明らかに上機嫌だった。@
長い時間を掛けて料理した獲物を、ようやく収穫できたのだ。@
その魂の味は、恐らく格別なのだろう。\
bg black,23
bg gakkou_02u,23
ld r,HIG_Def4,22
me1v 5,50
「じゃあね、毬枝。@……さぁて、次の獲物の子を、また探さなくっちゃ。@次は、か弱いいじめられっこが食べてみたいわね。@……クラス中からいじめられていて、もう生きるのも嫌になっちゃった、なんて、可哀想な子を…。」\
ld r,HIG_W4,80
「くすくすくす、そんな子に甘く囁き掛けて、保健室へ逃げる喜びを教えてあげるの。@それから、ゆっくりと死へ誘ってあげるのよ。@……きっといるわ、そんな可哀想な子がね。@だって、この学校、とても大きくて広いもの。@………くすくすくすくすくすくす。」\
;<彼岸花
cl r,2
それだけを一方的に告げ、彼岸花はふわりと姿を消す。@
後には、彼岸花の花びら一つない。@
br
……真っ赤な血の大輪と、哀れな少女の骸が横たわるだけだった。\
fede 1,1000
E_B
ld l,MAR_Def3n,22
彼岸花が囁かなくても、いつかは同じ道を辿る少女だった。@
br
しかしならば、@……もっと早くに気付いて、道を踏み外すことがないように、してあげられたかもしれない。\
彼岸花はまた、彼女のような哀れな犠牲者を探し、死へと誘う。@
br
……次は、か弱いいじめられっこを獲物にするとの、予告まで残して。\
ld l,MAR_Def2n,80
「………私に彼岸花さんを止めることは出来ない。@……………でも。」@
;<毬枝
br
彼女に誑かされそうな子を先に見つけて、@……道を誤らないように、助言することは出来るかもしれない。\
bg black,22
;bg blood_1aR,22
fede 0,1000
E_A
bgm1 5
「………死は何の解決にも、解放にもならない。@……それを、生きてる内に気付かせてあげることが出来なくて、@……ごめんね……。」@
;<毬枝
br
毬枝は骸の近くに姿を現わし、そっと、その顔を撫でる。\
安らかな顔にはならなかったけれど。@
br
せめて瞼を閉じてやることは出来た。\
bg gakkou_02u,6
;ld c,MAR_Def2a,26
;ld c,MAR_I4a,80
そして立ち上がり、……巨大な校舎を見上げる。\
彼女は毬枝。@
学校妖怪序列第8位。@めそめそさんの、毬枝。@
br
死を経て、数奇な運命から学校の妖怪たちの末席に迎えられた少女。\
これは、膨大なクラス数と生徒数を誇る、巨大な学校に住まう、@学校妖怪たちと、それに弄ばれるニンゲンたちの物語……。\
bg black,2
fede 0,2000
E_A
wait 2000
bg kyou_01,2
wait 1000
ld c,YUK_Def1,2
ld c,YUK_Def3,22
bgm1 4
榊由香里(さかき ゆかり)は、いじめられっこという概念を初めて知った時、@それが自分を指すものだとすぐに気が付いた。@
そして、そこから脱することが急務であると理解した。@
br
しかし、どうすれば、それが成し遂げられるのか、まだ幼かった彼女にはわからなかった。\
だから、親や先生にそれを聞くと、決まって、こう教えられた。\
bg black,22
“やり返すと、相手はもっともっとやってくるよ。”@
br
“反応しちゃうから、相手が面白がるんだよ?”@
br
“無視しなさい、無視。@そうすれば、いじめられなくなるから。”\
bg kyou_02,22
;ld r,YUK_Def2,22
だから、彼女はそれを素直に信じ、それを実践した。@
br
しかしどうやら、……それが効果を示すには、かなりの時間と我慢が必要だったらしい。\
一朝一夕には、その努力は結実しようとしなかった。@
br
その結果、……今日も彼女は、いじめられっこのままだった。\
;bg black,2
;bg kyou_02,0
ld l,YUK_Def3,22
E_A
quakex 1,100
ld l,YUK_Def4a,80
me1v 24,50
「………………………っ。」@
br
私の頭に、ぽつんと小さなものがぶつかる。@
br
見ずともわかってる。@
それは、消しゴムのカスを丸めた玉だ。\
それを振り払う仕草をすれば、私が反応したことを面白がって、@いじめっこたちは執拗にぶつけてくるだろう。@
br
だから私は気付かないふりをする。\
消しゴムのカスが、私の髪にしがみついているのを見て、@クスクス笑っている声が聞こえる。@
br
でも、それに反応すれば、……もっと執拗にいじめられるに違いないのだ。\
ld l,YUK_Def2a,80
cl l,22
だから私は、教えられた通りに無視する。@気付かないふりをする。@
br
消しゴムのカスを、いくつも髪に散りばめながら。@
ずっとずっと、……気付かないふりをして、我慢している……。\
bg black,22
fede 0,1000
E_A
bg toire_05,22
bgm1 8
私はトイレを使う時、教室から遠く離れた場所のを使うことにしていた。@
br
……教室に近いと、いじめっこたちに、トイレで鉢合わせになるからだ。\
教室でさえ執拗なのに。@
br
トイレなどという隔離された場所で出くわせば、……………考えたくもなかった。\
だから私は、教室からもっとも近いトイレを嫌い、@こうして別の校舎まで来て、別の学年が使うトイレに通っている。\
bg black,22
bg toire_07,22
学年やクラスごとに使うトイレが決められているわけではない。@
br
しかし、縄張りのような独特の空気があり、@……遠い教室の異郷から訪れている私を、温かく迎えてくれる雰囲気はわずかほどもなかった。\
………あの人だれ?@
br
……上級生だよね?@
br
何でここに来てるの?\
bg black,23
se1v 16,50
bg toire_03,23
wait 1000
ld c,YUK_Def3a,22
でも、こうして個室に入って、扉を閉めてしまえば、……私は全てから隔離される。@
br
ここでなら、トイレの個室は本当の意味で安全地帯。@
上から、デッキブラシやバケツが放り込まれてくることはない。\
cl c,5
私は脱力するようにしゃがみ込むと、……小さく頭を振りながら、その顔を両手で覆った。\
泣きたかったからじゃない。@
顔を手で覆って、温めたかっただけ。@
br
冷え切った顔が、まるで私の心そのもののように思えて、@……それが冷たくて、痛くて痛くて、……少しでも温めたかっただけなのだ。\
me1v 16,50
「私、……何で、こんな学校生活してんだろ……。」@
br
私にはわからない。\
bg black,22
学校って、何のために通うところなんだろう。@
br
お勉強を教わるため?@
br
掛け算や割り算や、漢字の読み方や書き方を習うため?\
……そんなの、お家でも出来ると思うな。@
br
どうして、それを、学 校 で習わなくちゃいけないんだろう。\
ld r,YUK_def2a,22
………………………。@
br
学校に、どうして来なくちゃいけないのかな。\
;mono 2
;bg Different_spiral_1a,22
学校に、……来たくない。@
br
いや、居たくない。@
そうすれば、痛くない。@
私の心は、痛まずに済む…。\
今日が終われば、学校から一時、逃げることは出来る。@
でも、日が昇れば、また明日は来る。@
br
逃げられない。@
私を苛む、この学校から、私は逃れられない。\
;bg Different_spiral_1b,22
ld r,YUK_def4,22
「……ないの?@ 私に、どこか、……逃げ道は……。」@
br
わかってる。@
あるわけなんかない。\
かくれんぼみたいに、土管に潜り込むとか、タイヤの山に隠れるとか、@そんなことをして逃げることが出来ればいいのに……。@
br
………大怪我をすれば、………病院とかに入院して、……逃げられるかな。\