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1000
;Chapter 4
放課後。@
br
さっきまで大雨が降っていたので、校庭で遊ぶ子の姿は、誰一人見えなかった。\
bg black,22
bg shoukou_01,22
少女は昇降口で、上履きから靴に履き替える。@
br
今日は委員会の日だったので、下校が遅くなったのだ。\
ここから見る限り、雨は止んでいるように見える。@……いや、ほんの少しだけ降っているだろうか…?@
br
少女は、傘を差そうかどうか迷いながら、ひさしを出て、空を見上げる仕草をする。\
bg black,22
bg gakkou_02,22
鉛色の曇天。@
br
そして、椅子。\
;bg black,28
bg "BMP\background\efe\red1.bmp",1
E_A
quakey 3,200
bg blood_1aR,8
bgm1 7
……水溜りに、赤黒いものが広がっていった……。\
bg black,2
bg gakkou_01,22
wait 2000
bg black,22
bg kyou_01,22
me1v 24,50
「えー?!@ 加奈がぁ?!@ ウソでしょー?!」@
「椅子が降ってきたって。@……どこからともなく。」@
「あと数cmずれてたら、眼球が潰れてたかもだって……!」\
翌日。@少女のクラスは大騒ぎだった。\
単調な日常が繰り返される学校生活において、@クラスメートが怪我で入院するなんて大事件は、そうそう起こらない。@
皆、興奮した様子でおしゃべりを延々と繰り広げている……。@
br
だが、……怪我をした少女の友人たちのそれは、ひそひそと辺りをうかがうかのようなものだった。\
bg black,24
fede 0,1000
E_A
bg kyou_02,24
me1v 16,50
「………ヤバいんじゃない……?」@
「気にし過ぎだってー。@馬鹿馬鹿しい……。」@
「……椅子なんて降って来る?@ フツー。」\
「熱血上級生が、たまたま椅子を放り投げたのが当たっただけじゃない…?」@
「んなこと、あるわけないじゃん……。」@
「……………………………。」\
「……やっぱりさ…。@……あれの、……/
E_A
祟りとか……。」@
「わけないじゃーん!!@ あはは、あはははははははは!!」@
me1v 24,50
br
1人が馬鹿馬鹿しいと笑い転げる。@合わせるように、他の少女たちも笑うが、表情の曇りが拭われることはなかった。\
「……あの日以来さ。@……おかしいことばっかじゃん。@……言ったでしょ?@ 石つぶてが降ってきたって…。」@
「誰かの悪戯でしょ?@ まさか天狗の仕業だとか言うわけ?!」\
E_A
ld c,MIC_Def1,2
;ld r,MIC_Def1,80
bgm1 18
「それも、………鎮守神さまの祟りだよ……。」@
;<みちる
br
ぬぅっと姿を現わした、眼帯の少女が、そう呟く。\
「う、……うっせぇよ、お前に意見なんか求めてねーよ!@ あっち行けよ、根暗女!!」\
;mbg white,63
;mcbg 23
;bg kyou_01,0
ld c,MIC_Def2,80
「…………………………。」@
;<みちる
br
少女たちのリーダー格が、不愉快そうに立ち去ると、@他の少女たちも両者の顔を見比べてから、おずおずと退場する。@
br
後には、眼帯の少女の姿だけが残った……。\
少女の名は、……桜田みちる(さくらだ みちる)。\
陰鬱な雰囲気が示す通り、友達はいない。@
br
いつもひとりぼっちで、小難しい本を読み、……何かをぶつぶつと呟いている。\
クラスメートの女子に言わせると、“何か見えちゃってる、アブネーやつ”だった。@
br
しかし、……その表現はみちるにとって、……あながち、的外れなものではないと感じている。\
bg black,22
bg gakkou_03,22
………みちるは一人、校舎裏にやって来る。@
br
そして、忘れ去られ雑草が生い茂った花壇の一角にやってくる。\
bg black,22
bg hokora_01,22
;ld c,MIC_Def1,22
そこには、古ぼけた木製の小さな祠があった……。\
風雨で埃まみれとなった祠は、手入れがされているとは言い難い。@
しかし、歳月を感じさせる貫禄は、確かにあった。\
;cl c,5
ld r,MIC_Def2,22
みちるはその前に屈みこみ、小さく拍手を打って拝礼する……。\
ld r,MIC_Def1,80
「………鎮守神さま、鎮守神さま……。@……どうか、お怒りをお鎮め下さい……。」@
br
小声で何度もそう呟きながら、……祠を見上げては、拝礼を繰り返す。\
その祠は、ご神体を収める木製の小さな扉が、……ひしゃげて壊れていた。@
br
ひしゃげ、ささくれ立った具合から、壊れたのはつい最近だと想像できる。\
校舎裏でボール遊びをする子も少なくない。@……強いボールが飛んできて、ぶつかって壊してしまったのかもしれない。\
cl r,0
ld c,MIC_Def5,24
みちるは立ち上がると、その扉を直そうとするかのような仕草で撫でる。\
しかし、それで直るわけもない。@
br
無残に壊れたまま、祠は放置されている……。\
ld c,MIC_Def3,80
「……………………………。@/
E_A
………………誰…?」@
me1v 5,50
br
不意にみちるは立ち上がり、ゆっくりと後ろを振り返る。\
bg black,23
bg usagi_01,23
……すると、用具小屋の陰にいた少女が、びくっと驚く。\
その少女は、……あの、怪我をした少女の友人の一人。@
br
みちるが祟りだと警告した少女たちの内の一人だった。\
「………こ、………こんにちは………。」@
ld r,MIC_Def1,22
「…………こんにちは。」@
br
少女はおずおずと頭を下げる。\
学校生活において、生徒同士でこんにちはと言うことなど、滅多にありえない。@
br
そのぎくしゃくとした挨拶が、二人が普段、如何に交流がないかを物語っている。\
みちるは、瞬きすらしないかのように、不動のまま、じっと少女の目を見ていた。@
br
……少女は覚悟を決め、物陰から歩み出る。\
「え、……っと。@………さっきはその、……ごめんね。@……博美はその、口が悪いから……。」@
ld r,MIC_Def2,80
「……いいよ。@全然気にしてないから。」@
br
みちるはそう言うと、再び祠に向き直る。\
cl r,22
少女も、その肩越しに祠を見て、……ごくりと唾を一度、飲み込んだ。\
bg black,24
fede 0,1000
E_A
bg hokora_02,22
;ld c,MIC_Def1,24
bgm1 8
「…………桜田さんってさ……。@その、………。@………あるの……?」\
ld c,MIC_Def1,22
「……何が?」@
「あの、………霊感、……とか………。」\
ld c,MIC_Def2,80
「……………………。」@
br
みちるは、小さく溜め息を漏らした後、ゆっくりと振り返る。\
;ld c,MIC_Def1,80
そして、……仮にそうだと答えたなら、それを信じるのかと、無言で少女に問い掛ける…。@
br
だから少女は、沈黙に耐え切れなくて、苦笑いを始めてしまう…。\
「……クラスの子が噂してたの。@……桜田さんは、その、………霊感とか、そういう力があって…。@………霊とかそういうのが、……見えちゃう、って……。@わ、……私は全然見えないけどっ。@ふ、ふつーそうだよね…?@ はは、はは……。」@
br
みちるはもう一度、小さく溜め息を漏らしてから、……言った。\
ld c,MIC_Def1,80
「………私にとって、それはとても当り前の光景だったの。@……私に見えるのだから、みんなにも見えてる。@小さい頃は、そう信じてた。」@
「……………………っ。」\
ld c,MIC_Def3,80
「小学校に入ったばかりくらいの頃に、ようやく理解したの。@……私には、みんなに見えないものが、見えているって。」\
「じゃあ今も、………ひょっとして、……はは、……見えて、……る……?」@
ld c,MIC_Def2,80
「…………………………。」@
br
みちるは沈黙するが、……その目線がふわりと踊っている。@
まるで、すぐそこを飛ぶ虫か何かを目で追っているかのように。\
……しかし、そこには何もいないのだ。@
br
ld c,MIC_Def6,80
その、……みちるの目線の示す先が、………次第に少女に近付いていく………。\
「ひ、……ひぃ……?!」@
br
quakex 2,200
少女は堪らず、頭を払う仕草をする。@
それを見て、みちるはようやく、くすりと笑った。\
ld c,MIC_Def3,80
me1v 16,50
「…………冗談だよ。@……いつも見えてるわけじゃないの。@いえ、むしろ望んで、見えなくなるようにしたの。@……お陰で、最近は意識さえしなければ、ほとんど見えないようになった…。」\
「どうして……、見えなくなるように…?」\
ld c,MIC_Def1,80
「………霊が取り憑いて、事故に引き込もうとしているのが見えても。@……私には何も出来ないから。@………霊に憑かれているから気を付けてと言って、……誰が信じるの…?」\
「……それは、………………。」@
br
他者にはない能力が、必ずしも愉快なものとは限らない。@
ましてや、その能力によって他人の不幸を察知しても、それを救えないなら尚更のことだ……。\
「あの、さ。@……絶対に馬鹿にしないから、……信じるからっ。@………だから、………教えてくれない……?」@
ld c,MIC_Def2,80
「……あなたたちが壊した、この鎮守神さまの祠のことを……?」\
「う、…………うん…。@加奈の怪我って、やっぱりその、……祟りなの…?」\
textoff
ld c,MIC_Def3,80
fede 1,1000
E_B
「…………そうだよ。」\
「……………っ。」@
br
少女はごくりと、もう一度唾を飲み込む……。\
bg black,22
fede 0,1000
E_A
bg gakkou_06,22
;ld l,MIC_Def1,23
bgm1 18
「この辺りは、地脈がとても悪いの。@……悪い気や、良くない霊。@そういうものが、この辺りの土地には集まりやすい傾向があるの。」@
「……じゃあ、加奈の祟りって、……その良くない霊の……?」\
;ld l,MIC_Def1,80
「違うよ。@………鎮守神さまは、そんな悪い気や霊を、この祠で鎮めて来たんだよ。@……はるか昔からここにいて、@敬う人間がいなくなっても、ずっとずっとここに留まって、……土地を守り続けてきた。」\
;ld l,MIC_Def1,80
bg hokora_01,22
「…………鎮守神さまは寂しかったんだよ。@こんなにも長い間、土地を守ってきたのに、……誰からも感謝されなくて。@だから、……鎮守神さまも、きっと少し、@拗ねていたところがあったのかもしれないね…。」\
「そ、……そこに、……私たちがボールをぶつけて、……こ、壊してしまったから……?」\
;ld l,MIC_Def1,80
bg black,22
me1v 5,50
「………そうだよ。@それで、鎮守神さまは怒ってしまった。@………あなたたちだけが悪いわけじゃない。@……長い年月の中で、祠を放置して敬わなかった、何代もの積み重ね。@……その鬱積が、あなたたちに祠を壊されたことで、一気に噴き出してしまった…。」\
「鎮守神さまの、……祟り………。」\
bg hokora_01,22
ld r,MIC_Def1,80
「……そう。@………鎮守神さまは、今もすごく怒っている。」@
「ど、……どうしたらその怒りを鎮めてもらえるの…?」\
ld r,MIC_Def2,80
「……………一番いいのは。@ボールをぶつけたその時、みんなですぐに祠に謝れば良かった。@……そうすれば、@鎮守神さまも、これが偶然の事故なんだと割り切ることがきっと出来た……。」\
bg black,22
fede 10,1000
E_MA
mono 1
bg hokora_02,22
少女たちのボール遊びの時、たまたま、みちるもこの場にいた。@
そして、少女たちが祠を壊してしまったのを見て、@………すぐに祠に謝らないと、大変なことになると忠告したのだ。@
br
……しかし、そんな馬鹿なことがあるかと嘲笑われ、少女たちはそのまま行ってしまった。\
bg black,22
mono 0
bg hokora_01,0
ld r,MIC_Def1,22
ld r,MIC_Def3,80
「……それで、鎮守神さまは人間たちの不敬に怒り狂ってしまったの。@………私の忠告を聞いていれば、……誰も不幸にならなかった。」\
「ご、ごめんなさい…!@ あの時は私たちも動揺してて、その……。」@
ld r,MIC_Def2,80
「………いいんだよ。@少なくとも、あなただけは、鎮守神さまへの敬いの気持ちを持ってくれた。@……それが、お怒りを鎮める第一歩になるんだよ。」\
quakey 1,100
「お願い、桜田さん…!@ 私ッ、怖いの…!!@ 加奈の事故だけじゃない…!@ 博美も若菜も、みんな身の回りで何かおかしいことが起こってるの…!@ 最初は誰かの悪戯かなって程度だったけど、@だんだんおかしくなっていって、……それでとうとう加奈は……!@ これ以上、祟りが酷くなったら、私たちはどうなるの?@ どうなっちゃうの?!@ 怖いよッ、助けてよッ、桜田さん!!」\
少女は蒼ざめながら、目に涙を溜めて懇願する。\
bg black,22
その力ゆえに、薄気味悪いとクラスメートたちからずっと敬遠されてきたみちるにとって、@都合のいい時だけ頼られるのは、良い気持ちのするものではない。\
……しかし、彼女は初めて機会を得たのかもしれない。@
br
自分のその稀有な力が、誰かを救えるかもしれない機会を。\
みちるは、何度目かの溜め息を吐き出し、……覚悟を決めた眼差しで、少女を見る。\
bg hokora_01,0
ld c,MIC_Def3,22
ld c,MIC_Def4,80
「……私に出来ることは多くないよ。@まず、私に鎮守神さまの怒りを鎮めることは出来ない。」@
「そ、そんな……。@じゃあ、誰が怒りを鎮めるの…?!」\
ld c,MIC_Def2,80
「それが出来るのは、あなたたちだけ。」@
br
道理だ。@少女は閉口して、ごくりと唾を飲み込む。\
ld c,MIC_Def3,80
「この祠の前で。@ボール遊びをしていた全員が揃ってお参りして、鎮守神さまに謝れば。@……どうにかなるかもしれない。」@
「私たち、全員で……?」\
cl c,0
ld r,MIC_Def4,23
「そう。@全員で。@……あなた一人が謝ったところで、鎮守神さまの心には多分、届かない。@………心の力は、一人一人では弱いけれど、束ねると強くなるから。@……縄と同じだよ。」@
「……………う、………うん…。」\
ld r,MIC_Def1,80
「あなたに出来ることは、みんなを説得して、ここへ連れて来ること。@……私に出来ることは、その時にするお参りの作法を教えてあげることと、@………その日まで、あなたの安全を守ること。」\
bg black,22
me1v 5,50
fede 1,1000
E_B
全員を説得してここへ連れて来る。@
br
それは容易なことではない。@日数をかけるだろう。\
bg kyou_02,22
リーダー格の博美はオカルト紛いの話を、馬鹿馬鹿しいと吐き捨てて拒絶している。@説得は容易ではないに違いない。\
そして、椅子で怪我をした加奈は入院している。@
命に別状はないそうだが、いつ退院してくるかは、よくわからない……。@
br
その数日間の間に、再び祟りが起こらない保証は、まったくないのだ。\
bg black,22
bg hokora_01,22
「……そ、そうだよね……。@みんなを説得してる間にも、祟りは起こるかもしれないよね……。@……次の祟りでは、……こ、今度こそ、……人が死ぬかも………。」\
ld l,MIC_Def1,22
「……私は嫌だよ。@菊の花の飾ってある教室なんて。」@
「ちょ、ちょっと止めてよ、笑えないよぉ…!」@
br
少女は泣き笑いのようなわけのわからない表情を浮かべながら、みちるの肩にすがり付く。\
ld l,MIC_Def2,80
「………とにかく。@あなたたちがここに全員揃うまでの間、@鎮守神さまの祟りが及ばないようにしないと。」\
「何かないの…?!@ 御守りとか護符とかそういうの…!!」@
ld l,MIC_Def3,80
「……あるけれど、鎮守神さまはとても強い神様。@そんなのじゃ防げないよ。」\
「じゃあ、どうすればいいの…?!@ 絶対にみんなを説得してここで謝るから、@それまでの間、どうすれば祟りを防げるの?!」@
br
みちるは髪を風になびかせながら、……祠を見やり、……そして大きな学校を見上げる。\
bg black,22
me2v 16,50
bg gakkou_02u,2
「鎮守神さまは土地の神様。@……その神様の祟りを防ぐには、@……同じ土地に住む、同じくらい強い力を借りる必要がある。」@
「う、うん。@……それは、どうやればいいの……?!」\
bg black,2
fede 0,2000
E_A
wait 2000
me1v 35,50
bg okujou_01y,2
月明かりが照らす、夜の学校……。@
br
虫たちの合唱が、より一層、静寂を引き立たせる。\
bg black,22
bg gakkou_08y,22
二人の人影は、……旧校舎の校舎の陰にあった。\
「こ、……こんなことして、……先生に見つかったら大変じゃない……?」\
ld c,MIC_Def1,22
ld c,MIC_Def2,80
「……祟りに遭う方がいいというなら、引き返してもいいんだよ…。」@
「や、やるよぉ、やるよぉ……!」\
;mbg white,1
;mcbg 22
;wait 100
;mbg white,1
;mcbg 22
;wait 100
lsp bgsp,":a;bmp\background\efe\ware.bmp",0,0
print 1
csp -1
se1 1006
quakex 2,200
bg gakkou_08y,0
ld c,MIC_Def2,22
少女は抱え上げた大きな石を、旧校舎の窓ガラスに打ち付ける。@
br
何度か繰り返す内に、ガラスは蜘蛛の巣状に割れて、拳大の穴を開ける……。\
みちるに懐中電灯で照らされながら、少女はそこより手を突っ込み、鍵を開ける……。@
br
二人はそこより旧校舎の中へ入り込んだ……。\
bg black,2
bg k_rouka_03,2
bgm1 8
「きゅ、……旧校舎ってさ…。@オカルトスポットなんでしょ……?」@
ld r,MIC_Def3,22
「……そういう話だね。@……まぁ、外れてないんだけれど。」\
「い、……今も、その辺に、……うようよいて、……見えてたりする……?」\
ld r,MIC_Def2,80
「どんなのが見えてるか、……教えて欲しいなら。」@
「え、……遠慮するよぉ……!」\
ld r,MIC_Def1,80
「人が大勢集まる学校には、それだけ多くの念と霊と、力が集まるの。@……そしてそれは、長い年月を経た、この旧校舎が一番強い。」\
「……ほ、本当に、……その力は私を守ってくれるの……?」\
ld r,MIC_Def3,80
「それはあなたの心掛け次第だよ。@……そういう諸々の力に敬意を持って、守って欲しいと心から願えたなら、きっと力を貸してくれる。」@
「う、うんうん……!@ 願うよ、願うよぉおお!!」\
bg black,22
fede 1,1000
E_B
bg k_kaidan_01,22
ld c,MIC_Def1,26
;ld c,MIC_Def1,80
「はい、数珠。@……これを持って。@そう。@……それからこれは御守りの護符。@悪い霊を遠ざけて、代わりに良い霊たちを集めてくれる。」\
cl c,2
bgm1 18
みちるたちは、数珠と護符と懐中電灯を持ち、………夜の旧校舎の中を歩き始める。@
br
みちるは不思議な呪文、あるいは祝詞を唱えながら。\
bg black,22
bg k_rouka_02,22
……少女には理解できないが、@それは、この旧校舎に住まう霊たちに加護を求める、霊たちへの言葉らしい。@
br
まったく理解できないが、とにかく見よう見真似で、その祝詞を同じように少女も唱える……。\
「………本当にこれで……、私たちの声、……霊たちに届いてるのかなぁ……。」\
ld r,MIC_Def2,22
「………うん。@いるよ。@すぐ近くにいて、私たちを見てる。」@
「ひ、……ひぃぃぃ………!」\
bg black,22
みちるのその言葉に偽りはなかった。@
br
なぜなら、確かに人ならざる存在はそこにいて、二人の少女を見ていたからだ。\
textoff
bg k_rouka_03,22
wait 2000
ld r,MAR_Def4a,2
「……何をしているのかな。@……こんな時間に、この二人は……。」@
br
それは、旧校舎の怪談の主、……第八怪談を司る、めそめその毬枝だった。\
稀に、肝試しと称して忍び込んでくる生徒はいる。@
しかし、こんなにも遅い時間に入ってくる生徒は本当に珍しい。@
br
毬枝は、暗がりで転んで怪我でもしなければいいのだけどと心配しながら、@少女たちと一緒に歩いていた。\
bg black,22
bg k_rouka_01,22
……実際、旧校舎の中には、低級な霊や妖怪がいっぱいいる。@
br
それらは夜に力を増幅し、@この珍客たちを、転ばせたり、何かに引っ掛けたりして、怪我をさせようとあちこちからうかがっているのだ。\
ld c,MAR_i4,24
しかし、それらは学校妖怪序列第8位の毬枝の姿を見ると、びくっと姿を隠してしまう。@
br
彼らにとって、学校妖怪八席は恐ろしい存在。@
だから、毬枝がみちるたちと一緒にこうしているだけで、立派な魔除けの効果があるのだった。\
bg black,22
bg k_rouka_02,22
「あぁ、どうか旧校舎の霊の皆さん…!@ 私をしばらくの間、鎮守神さまの祟りからお守り下さいぃぃ!@ 近々必ず、みんなで祠にお参りして謝りますからっ。@ボールをぶつけて壊して、そのまま逃げてすみませんでしたぁぁああぁ…!!」\
ld r,MAR_Def4,22
毬枝は、少女の話をずっと聞いていた。@
br
そして、何らかの存在の怒りに触れ、祟りを被っており、……すでに怪我人まで出ていることを知る。\
;ld l,MAR_Def1,80
………よく事情はわからないけれど。@ボールがぶつかっただけで、それを恨んで怪我をさせるなんて、@……学校に住まう者としては、ちょっと気が短すぎる。\
「お願いですぅ、旧校舎の霊の皆さぁん…!@ 私をお守り下さぁあぁい…!!」\
ld r,MAR_i4a,80
よしっ、わかりました。@別に私は霊じゃないけど、あなたの願い、聞き届けてあげましょう…!@
br
毬枝は拳を握り締めて大きく頷く。\
きっと、祟りをしている本人にとって、その祠は大事なものなんだろう。@それを壊されて怒る気持ちは確かにわかる。@
br
でも、それに反省しているし、みんなで揃って謝りに行くとも言っている。@
br
その気持ちを汲み取って許してあげてもいいはずだ。\
bg black,22
鎮守神さま、という妖怪に会ったことはない。@
br
でも、同じ学校内に住む存在なのだから、私の話だって聞いてくれるはずだ。\
fede 10,1000
E_MA
bg gakkou_05,2
翌日。@
br
生徒たちがはしゃぎ回る昼休み。@
校舎裏には、ニンゲンのように姿を現わした毬枝の姿があった。\
bg black,2
fede 0,2000
E_A
bg gakkou_03,2
me1v 31,50
wait 2000
ld c,MAR_Def4,22
;ld c,MAR_Def1,80
「………確か、この辺りにあるって言ってたけれど……。」@
br
正直なところ、毬枝もその祠の存在は知らなかった。@
広大で歪な巨大学校だ。@知らない場所があっても、何の不思議もない…。\
すると、……トントン、カンカンと、釘を打つ音が聞こえた。\
bg black,24
bg hokora_01,24
何事かと近付いてみると。@
……雑草の茂る一角に、確かに祠があった。@
br
そこに、白衣の先生がしゃがみ込んで、何やらやっている。\
ld r,MAR_Def4a,24
「……え、っと……。@……こ、………こんにちは……。」@
br
毬枝は、ニンゲンと交流できるように、自身の波長を相手に合わせる……。\
E_A
ld l,HOK_Def1,26
ld l,HOK_Def2,80
bgm1 2
「んー?@ どうしたの?@ 怪我?」\
振り返ったのは、……何と、保健室の先生だった。@
先生は日曜大工の趣味でもあるのだろうか。@
br
見ると、祠の扉を取り外して、蝶番を付け直しているところだった。\
ld r,MAR_Def4,80
「何をしているんですか……?」@
ld l,HOK_Def3,80
「うん。@なんかねー、ムシが騒いでねー。」@
ld r,MAR_def4a,80
「ムシが騒ぐって?」\
ld l,HOK_Def4,80
「あはははははは。@まぁ、先生の第六感かな?@ 何だか気になって来てみたらね。@この祠の扉が壊れてたんだよ。@ボールか何かがぶつかったのかもね。@これじゃ、祠の神様が可哀想だからと思ってね。@先生、こう見えても、こういうのの修理、得意だったりするの。」\
cl l,25
そう言って笑いながら、器用に扉を修理している。\
ld l,HIG_Def5,22
「霊感あるのよ、その先生。」@
ld r,MAR_Def4,80
「え?@ 彼岸花さん……。」\
ld l,HIG_w3,80
「たまにいるのよね。@私たちを知覚できるニンゲンが。@……たまに私の気配に気付いてるわ。@私の近くにずっといたものだから、おかしな妖力でも染み付いちゃったのかしらね。@くすくすくす。」\
保健の先生の霊感が、この祠の主の怒りを察知したに違いない。@
br
それでここへやってきて、壊れているのを見つけたのだ。\
ld r,MAR_Def3,80
「……彼岸花さん。@この祠には、どなたか住んでるんですよね…?」\
textoff
ld l,HIG_def5,80
fede 0,2000
E_A
ld l,HIG_def3,22
me1v 5,50
「えぇ、住んでるわよ。@住まいが壊されちゃったんで、困ってたわ。」\
ld r,MAR_Def2a,80
「その、……すごく、怒ってるんですよね…?」@
ld l,HIG_Def5,80
「まぁ、そうなんじゃない?@ 突然、自分の家が壊されて、怒らない人もいないもんだと思うけれど。」\
bg black,22
至極当然の話だ。@
br
とにかく、少女たちがやがて謝りに来るので、それまで祟りを待って欲しいとお願いするしかない。\
……あの少女たちの話を聞く限り、相当強力な妖力を持つ存在らしい。@ということは、その格もきっと高いだろう。@
br
序列第8位の、非力な自分の話を聞いてくれるだろうか…。\
bg hokora_02,0
ld r,HIG_w3,0
ld l,MAR_Def2a,22
ld r,HIG_Def5,80
「どうしたの、毬枝?@ さっきから黙り込んじゃって?」@
ld l,MAR_Def3a,22
「あの、………実は……。」@
br
毬枝は事情を話す。@それは彼岸花にとって唐突な話のようだった。\
bg usagi_01,22
;ld l,HIG_Def1,80
「この祠の主が、怒って祟りで、……女の子が大怪我?」@
;ld r,MAR_Def1,80
「は、はい。」\
ld l,HIG_w4,22
「この祠の主が、怒って祟りで、……?」@
br
彼岸花は同じことをもう一度、口にし、毬枝と祠を交互に見る。\
ld l,HIG_Def5,80
「………そんなことしたの?」\
bg black,23
bg hokora_01,23
E_A
se1v 57,50
mbg white,1
mcbg 22
wait 2000
se1 48
mld c,SAK_n3,26
bgm1 19
「うりゅー!@ ぼくはそんなことしないよー!」\
;<さくのしん
ld r,MAR_def4a,22
「え?!@ えッ?!」@
br
ぽんっ、と音がして、土煙をあげながら、……小さな男の子が足元から飛び出してくる。\
毬枝の背よりも頭一つ分は低い。@
……狐か何かを思わせる耳が生えていて、@……その、鎮守神さまなんて呼ばれてたような厳つさは微塵も感じられない。@
br
……どちらかというと、……可愛い男の子のように見えた。\
mld c,SAK_n2,80
「うりゅー。@ぼくはしないよ、人を怪我させたりなんてしないんだよー!@ ひどいよひどいよー、うりゅー!」@
ld r,MAR_Def3a,80
「えっと、……え?@ ……え?」@
br
拗ねた仕草で抗議され、毬枝は目を白黒させる。@
……もっとその、恐ろしい容姿を想像していたのだが。\
ld l,HIG_w3,22
「この祠に住んでる、動物霊のさくのしんよ。」@
mld c,SAK_Def4,80
「うりゅー!/
se1 47
quakey 2,200
@ ぼくの名前は、さくのしん!」\
ld r,MAR_Def4a,80
「さ、……さくのしんさん……?@ こ、こんにちは…。@毬枝と言います……。」@
br
ぺこり、ぺこり。@ご挨拶。\
ld l,HIG_Def4,80
「この子は、この学校の動物霊の長よ。@こう見えて、とっても偉いんだから。」@
mld c,SAK_Def2,80
「うりゅー!@ ぼくは動物の王様なのー!@ らいおんなのー!」@
ld r,MAR_Def3a,80
「……ら、らいおん…?@ ……てっきり、狐か何かだと……。」\
mld c,SAK_n2,80
「うりゅー、ひどいよー、らいおんなのにー。@らいおんなのにーっ。」@
br
今度はわんわん泣き始める。@
その感情の起伏の激しさは、まるで幼稚園児そのものだ……。\
ld l,HIG_Def2,80
「この子は、突然、ボールが飛んできて、大切な家を壊されちゃったんで、@驚いて怖がって、ずっと怯えてたのよ?@ 怒るどころか、ついさっきまで保健室のベッドの下に隠れて震えてたんだから。」\
mld c,SAK_n3,80
「震えてないよー、うりゅーうりゅー、うわぁーーーん!!」\
ld l,HIG_Def5,80
「さくのしんは、とっても怖がりな子なの。@仮にも長をやってるんだから、もっとどっしり構えてればいいのにねぇ。」\
mld c,SAK_n2,80
「だってー、だってぇ!@ ぽかぽかお昼寝してたらっ、急にボールが、どーん、ぐしゃーん、ばりーん、うりゅー!!@ うわぁあああんん!!」\
ld l,HIG_w3,80
「おお、よしよし、怖かったのね、怖かったのね。@……………と、こんな感じよ、毬枝?@ この子が一体、何の祟りをしたんですって…?」\
ld r,MAR_i4a,80
「ほ、本当に、………誰にも祟りをしてないんですか……?」@
mld c,SAK_n3,80
「僕は知らないよー!@ うりゅーうりゅー、うわぁーーん!!」\
mcl c,0
bg black,26
bg air_02,22
ld l,HOK_def2,26
「……よぃしょっとォ。@……さぁ、直った!」@
br
手をぱんぱんと叩きながら、保健の先生が立ち上がる。\
bg white,29
se1v 1,50
bg hokora_01,9
仮ではあるが、新しい扉が取り付けられ、@さくのしんの家は、しっかりと戸締りが出来るようになった。\
ld r,HIG_Def1,22
;ld r,HIG_Def1,80
「ほら。@お家が直ったわよ。」@
ld l,SAK_n1,26
ld l,SAK_Def4,80
quakey 1,100
「わああぁい!!@ 先生ぇ、ありがとー!!@ うりゅーーー!!!」@
br
泣いたカラスがもう笑った、とはよく言ったもの。@さくのしんは飛び跳ねて喜んでいる。@
br
……その無邪気な様子を見る限り、祟りで人に危害を加えるような子には、到底見えない。\
bg black,22